その山の頂には、ひときわ輝く宝塔がそびえ立っていた。
風に揺れる草木の間を縫うように、一人の行者が静かに歩を進める。彼はその塔に向かって深く頭を垂れ、心からの祈りを捧げた。瞬間、塔の周囲に散らばっていた瓦や石、朽ち果てた木々が淡い光を帯び、見る間に七宝の輝きを放つ黄金へと変わっていく。その光は瞬く間に広がり、十方の世界を照らし出した。
その光の中から、どこからともなく声が響く。
「法の身を持つ如来の声なり……」
声は穏やかでありながら、深遠なる響きを持ち、行者の心の奥底まで染み渡る。彼は悟った。この声こそが、衆生を導き、無量の救済をもたらすものなのだと。
過去の悪業がひとつひとつ断ち切られ、彼の魂は澄み渡っていく。宝塔に納められた舎利の前で、彼はただひたすら祈りを捧げる。やがて、その祈りは広がり、辺り一帯に響き渡る。
「この塔に秘められた力は、いかなるものか……」
行者は、ふとそんな思いに囚われる。宝塔は仏舎利を納めた聖なる場所。そこには、大悲の力が満ち、仏の神変妙なる力が宿っている。
さらに祈り続けると、彼の目の前に異変が起こった。
かつて貧しさに苦しみ、衣すら満足にまとうことができなかった者が、三辮宝珠の光に包まれ、美しき衣と豊かな財を授かった。どこからともなく降り注ぐ宝の雨は、貧しき者に恵みをもたらし、病に苦しむ者を癒していく。
その奇跡に、行者の目には涙が滲んだ。法身如来の力とは、これほどまでに深遠であったのか。
しかし、この宝の力に囚われ、悪しき因果を背負うならば、その富もまた虚ろなものとなる。人が持つ因縁の深さを思い、行者はさらに深く祈る。
やがて、宝塔からの光が消え、静寂が訪れた。
行者はゆっくりと顔を上げ、手を合わせる。心の中に響く声は、なおも彼の魂を揺さぶっていた。
彼はその場を後にし、次なる巡礼の道へと足を踏み出した。
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