ホモ・エクセレンスの資格
ここにひとつの技術がある。
その術によって訓練すると、ヒトはだれでもいくつかのすぐれた力を持つようになる。
いちど耳にしたことは、ぜったいに忘れることのない発電方。どのように複雑な構造でも組織でも、瞬間的に分析し、推理し、理解し
て、資を整理してしまう演繹と帰納の力。のない記憶力。どのように複雑な構造でも組織でも、瞬間的に分析し、推理し、理解し
て、本質を把握してしまう演繹と帰納の力。コトバという間接思考を経ない純粋思考から発する超飛躍的な創造力。
それは、ヒトの平均知能を一・〇とするならば、おそらく、二・五から三・五に達する
であろう。
このグループの最高の頭脳は、やすやすと四次元を理解する。
二 感覚器官の増幅彼は、不可視光線(赤外澳、紫外線)を見ることができ、超音波を聞くことができる。
その異常感覚と高度の知能の結合からくる予知力。それらは、自分の肉体を思うままに統御する能力からくる。
三環境の制御と創造――思うままに自分を変え、他人を動かし、集団や環境を、自分の理念の通りに創造してゆく。
四物質を超え、物質を自由に統御する力。
五無限に発達した道徳意識。
だいたい、以上の能力である。
これを、前の項で述べたオリヴィエ教授の未来人、ホモ・エクセレンスの持つ能力とくらべてみよう。
それは、おどろくほど酷似している、というよりも、そっくりそのままといったほうがよいのの逆ない?
そういうと、あなたはいうかも知れぬ。それは、著者が、オリヴィエ說をそっくりそのままうクし持ってきたのではないのか、と。
今で接ないのだ。それは、むしろ、私のほうがいいたいことだ。私は、最初、オリヴィエ教機からの移隷授爵の存在を知っていて、その技術の習得を未来人の資格にしたのではないかと思いくらいのである。もちろん、それは、そうではなく、オリヴィエ教授は学術的に、來來人の部分をそのまろに予想したのにちがい深いが、この暗黙の一致を、あなたはどのように考える。
あっとも、オーディス教授は、実際にこの特殊技術の存在を知っていて、その上に登ってみランシスの魔力を、このように書いたのである、ということも考えられないことはな家らは、気、この補強装備は、この国でよりも、むしろ、アメックミータバで外多くのおまじめているのだからー。
をして、実然に。こういっときにあえる野線後、数をのまま観音一色ます。
ホモ・エクセレンスは、すでにこの地上にあらわれつつあるということである。それは、まだ、ごくわずかな数ではあるけれどもー。
未来人、ホモ・エクセレンスは、これからさき、長い時間をかけて進化の結果あらわれてくのでないし、突然変異体としてブランケンシュタインの怪物のごとく登場するのでもない。
れは、ひとつの特殊な人間開発技術により、ホモ・サピエンス自身が変身するのだ。英れは自然に生まれてくるのではなく、つくられるのだ。
もっとも、いちばん最初にあらわれたホモ・エクセレンスは、あるいは一種のミューダントあったかも知れない。あるいは、未来社会への環境適応の結果あらわれた超・セトの先行者であったのかも知れぬ。ちょうど、ネアンデルタール人の群れのなかに出現した最初のクロマニョン
人のようにー。ル・ガリックの法則によると、すでに存在する属のなかでの新しい積の形成は、三〇〇年から
六〇万年の時間を要するという。今から五○○○年まえという数字は、ホモ・エクセレンスの先行者があらわれて、ホモ・サピエンスのなかに次第に新しい同族の種属を形成してるのにちようど手頃な時間である。
最初のホモ・エクセレンスは非常に孤独であったろう。彼はその持てるすぐれた能力ゆえに、おのずと、予言者となり、指導者となり、教育者とならざるを得なかった。また、彼は、そ勢持つ異常な能力によって、数千年さきの未来を洞察し、ヒトの歴史の上における後自身の位置をホモ・エクセレンス
とったにちがいない。
彼は、まだ低い段階のホモ・サピエンスたちを教育するための「教え」を說くと同時に、これからやがて次第にあらわれてくる 同族たちを教育するためのカリキュラムもつくった。
彼は、周囲に何人かの崇拝者を持った。そのなかからすぐれた素質を持つ者をえらんで、彼はこのカリキュラムで訓練した。あるいは、その弟子たちのなかには、彼と同じホモ・エクセレンスの先行者たちもいたであろう。こうしてこの技術はあとへ伝承された。だが、あまりにも高度
なその開発技術は、ひろく受け入れられるためにはあまりに難解で、人びとの進歩と熟成のための時が必要であった。その長い間、この技術は、しばしば、誤解されたり、誹謗されたり、あるいは分裂の危機を迎えた。けれども、その技術が滅亡しようとするたびに、すぐれたホモ・エクセレンスがあらわれて、これを継いだ。この技術は、このようにして、ひろく世にうけいれられる時を静かに待った。多くの人びとが、この技術を必要とし、受け入れようと努力しはじめる時期を源かに待った。
いまー、その時がきたようである。
ホモ・サピエンスは生物としてその限界に到達した。いま、この世界を覆う混乱と当惑と憎悪
なによりも、それをものがたるものである。つぎにくるものは絶望でしかない。いまこのひの、出沖に、一瞬たりとも生命の危険を感ぜずして生きている人間がひとりもいない。あなた自今まではつねに機械と技術科学がその危機を乗り越えてきた。しかし、いまは、その機械と技術が先頭に立って人間に打撃を加えている。
「きは見えて」しまった。
ホモ・サピエンスの知能がつくり出した文明は極限に達した。もしもこの世界が生き残ろうと望むならば、あらたな文明が生まれ出なければならない。ホモ・サピエンスの生み出したものはすべて、科学も技術も宗教も、芸術さえも限界に達した。倫理も道徳も崩壊した。古い人類は必
死に古い文明にしがみついているけれども、これらはすべて過去の世界のものになった。限界に達した生物がさいごにえらぶ道は「集団自殺」である。いま、その集団自殺が地上に展開している。環境汚染と公害と戦乱――すべてホモ・サピエンス自身がつくり出したものである。
結局、ホモ・サピエンスは集団闘争による集団自殺によって絶滅するであろう。見よ。宗教ですら闘争の仲間に加わった。最も進歩的だと称するこの国の宗教団体は最も闘争すべての生物がたどる最後の道を、ホモ・サピエンスはついにたどりはじめたということであ法がはじまっているのである。滅びるべきものは滅び去るがよい。それでヒト・属は絶えはしない。あたらしい極の胎動がここにある。あたらしい文明と古い文明、ホモ・サピエンスとホで、エクセレンスはしばらくのあいだ共存するであろう。それは三世代から七世代つづく。ネアンデルクールとクロマニョンの共存は、一○○世代から一五〇世代つづいた。ネアンデルタールが消滅するのにそれだけかかった。われわれの共存は、促進されてごくわずかの時間で完了す
