阿含宗は、これからの時代に対して、どういう使命を果たし、 どういう機能を発揮して ゆくかという問題について触れてみたいと思う。
世紀末には、常に必ず何かが起こる。 どういうわけか、十九世紀末には非常に厭世気分 世界を覆って「暗い世紀末」と呼ばれた。それは本当に暗い時代となって、厭世自殺な ずいぶん発生した。 しかし、これは何んとか乗り切った。
しからば、 二十世紀末はどうなるか。 ノストラダムスの予言にみられるような、大きな 不安というものがやはり出てきている。 それが単なる不安にとどまらず、 大変な異変を裏 づける兆候がさまざまな形で出てきていると思う。
そこで、まず、わたくしは、二十一世紀の宗教はどうあるべきか、ということに標的を 定めて、歩みを進めようとしているのであるが、その二十一世紀を迎えるためには、その 前に、この二十世紀末をどう乗り越えるべきかが、深刻な問題となって立ちふさがってい るわけである。
いいかえれば、阿含宗は、巨視的には、二十一世紀の宗教を模索し、微視的には、今世 紀末を具体的にどう乗り切るか、を課題としているわけである。
そこで、二十一世紀の宗教を考える場合に、二十一世紀に生きる人間はどういう能力を 備えていなければならないかが問題となる。そして、それを現代においてすでに準備して ゆかねばならない。
わたくしは、これからのエレクトロニクスはますます高度化して、ついには神のごとき 存在になってゆくと思っている。
したがって、二十一世紀の人間は、エレクトロニクスを駆使する能力をもつ、と同時に、 すぐれた霊性を備えなければならないと思う。
これは、各個人の問題であると同時に、宗教そのものが、高い霊性を育み、エレクト ロニクスをコントロールする能力を開発しうる立場に立たねばならない。
これが、わたくしの志向する二十一世紀の宗教のあるべき姿である。
ニュートンの時代には三年も四年もかかった計算が、いま、一秒か、二秒で出来る。 し かも、少しもまちがいがない。 この事態を、当時の数学者がみたら、本当に驚嘆 戦慄し ひれ伏すであろう。
そのエレクトロニクスは、ますます進歩し高度化していって、いずれは、神に等しい存 在となる。
その時、われわれは、その神の下僕になってしまうか、その神を使いこなす神の霊性を
阿含宗の使命
であろう。
身につけることができるか、そのいずれであるかということである。
これはひとえに、人間がもつ精神的能力の成長いかんにかかっていると思う。人間のも 精神的能力の最高峰が、霊性であるとわたくしは考えている。
つまり、叡知とか理性とか精神力とかいわれるものすべてをひっくるめて、それをさら に昇華させたものを、わたくしは霊性と呼んでいるのである。
霊性というからには、その前提として、神を認め、仏を認める精神能力がなければなら ない。
したがって、霊性をもつ最も基本的かつ絶対的な条件を一つ挙げるならば、それは神を 認め仏を認めることにほかならない。
神も仏も認めない人間が、神のごときエレクトロニクスをもつようになった時、彼らは まちがいなく、そのエレクトロニクスの奴隷となり、アニマルと化すであろう。
つまり、そのエレクトロニクスという言葉を、原子力あるいは核エネルギーに置き換え てみるとよくわかる。
原子力とか核エネルギーとかいうものは、科学の最高峰に位置するものであるが、それ をもった人類が霊性を失った時は、いったいどうなるか、恐らく殺し合いを始めると思う。 これを使って原子爆弾、 水素爆弾という殺戮兵器をつくり、相手を抹殺することを考える
きつりく
しかし、霊性をもっている人であるなら、原子力の平和利用を考え、人類のためにこれ
を使って人類を幸せに導くであろう。
したがって、人間は、神に等しい、すばらしい機械や技術をもつようになったら、それ 高度であればあるほど、人間の精神的能力もまた、それに匹敵するよう、比例的に高く ならねばならないのである。
低い精神能力の人間が、高い技術や精巧な機械をもった時、必ずやこの世界を地獄に陥 れることになるであろう。
それは悪魔のなせるわざである。 その兆候がこの時代にすでに現れはじめている。
それを阻止するための方法はただ一つ、霊性を発展させてゆくことである。
こういった霊性を人間にもたせてくれる宗教が、いまの世界にどれだけあるか、日本に どれだけあるか、という基本的次元から宗教を考えねばならない。
わたくしは、カルマを断つ成仏法を記した唯一の経典『阿含経』によって修行するより ほか、 それはなし得ないと確信しているのである。
世紀末の暗き兆候を克服し、いかに二十一世紀を迎えるか、 そして、二十一世紀をどう 生きるか
悪しき霊的存在は、悪しき因縁をつくる。 悪しき因縁は、カルマという業力によって働 悪しき事態をもたらす。 この因縁を切り、カルマを断つ。それを可能にするためには、 高い霊性をもたねばならない。その霊性を獲得するにはどうあらねばならないか。
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