人類の科学技術がいかに進もうとも超高層ビルが天に届かないのと同じように半導体の微細化も限界に近づきつつある。「半導体の集積率は1年半ごとに2倍になる」というムーアの法則の終わりが囁かれる。グーグルは昨年10月、最先端スパコンが約1万年かかる問題を量子コンピューターが3分20秒で解き「量子超越性」を証明したと発表した。
スパコンのライバルは研究開発中の量子コンピューターだけではない。米ワシントン大学医学部に拠点を置く分散コンピューティング・プロジェクト「Folding@home」は4月13日、世界トップ500のスパコンの演算能力を合わせたよりも速い2.4エクサフロップスを達成したとツイートして世界を驚かせた。
スパコンはなぜ必要か
スパコンの世界では「エクサスケール」を実現することが大きなメルクマールとされる。単位は1000倍になるごとにキロ、メガ、ギガ、テラ、ペタ、エクサと変わっていく。1エクサフロップスは1秒間に100京回の浮動小数点演算が可能なことを示す。スパコン「京」の名前は1京回(10ペタフロップス)の演算を達成したことに由来する。
「富岳」の演算性能は1エクサフロップスの半分に満たない415.53ペタフロップス。「Folding@home」の約6分の1に過ぎない。
スパコン開発には莫大なカネがかかるが、膨大なデータをリアルタイムで処理しなければならない天気予報などには不可欠だ。一方、低予算の分散コンピューティングはインターネットを使った通信に時間がかかり、合計した電力消費量も多い。量子コンピューターの実用化はまだこれからで、用途が限られている。それぞれ長所と短所を抱えている。
