降三世明王
降三世明王
降三世はサンスクリット語で、トライローキヤ・ヴィジャヤ(三界の勝利者 Trailokyavijaya)といい、正確には「三千世界の支配者シヴァを倒した勝利者」の意味。
経典によっては、そのまま、孫婆明王(そんばみょうおう)とも、後期密教の十忿怒尊ではシュンバ・ラージャ (Śumbharāja)とも呼ばれる。 その成立は、古代インド神話に登場するシュンバ (Śumbha)、ニシュンバ (Niśumbha) というアスラの兄弟に関係し、密教の確立とともに仏教に包括された仏尊である。
同体とされる勝三世明王は、降三世と起源を同じくするものの、「一面二臂タイプのトライローキャヴィジャヤ」として近年インドでも出土しており、ヴァジュラ・フーンカーラ菩薩 (Vajrahūṃkāra) とも言われる。
尊き金剛手がいった。「汝等、仏と法と僧とに帰依し、一切智智の獲得のために行ぜよ」と。
そのとき、この世界における全三界の主宰である大〔自在〕天は、一切世界の主宰であることを誇り、大きな怒りを示して次のようにいった。
「おお、薬叉よ、我は三界の主宰、自在者、能作者、破壊者、一切の鬼神の主、天の中の天、大天なり。どうして我は薬叉の教勅をなさんや」
その時、金剛手は再びまた、金剛杵を抽擲しつつ命令した。 「おお、悪しきものよ、速やかに曼荼羅に入れ、そして我が誓願(サマヤ)に立て」
その時、大〔自在〕天なる天は世尊に次のように言った。
「このものは誰だ。世尊よ、自在者に対してこのような命令を出すこのようなものは」
- オン・ニソムバ・バサラウンパッタ[12]
- Oṃ śumbha niśumbha hūṃ gṛhṇa gṛhṇa hūṃ gṛhṇāpaya hūṃ ānaya ho bhagavan vajra hūṃ phaṭ.[13]
- (オーン、シュンバよ、ニシュンバよ、フーン、捕えよ、捕えよ、フーン、捕えしめよ、フーン、引き入れよ、ホー、世尊よ、金剛よ、フーン、パット)[13]
降三世明王
阿閃如来の命を受け、煩悩を退治
降三世明王(ごうざんぜみょうおう)とは?
阿閃如来、大日如来の化身ともいわれ東方を守護しています。降三世の語源は「3つの世界を降伏するもの」という意味で、過去・現在・未来の世界にはびこる欲望、怒り、愚痴という三つ煩悩を退治するといわれています。
大日如来が説法をしていたとき、大自在天(ヒンドゥー教のシヴァ神)とその妃・鳥摩(ウマー)が仏教の教えに従わず欲望に捕らわれていたため降三世明王が降臨して倒したといわれています。そのため、降三世明王像の足下には大自在天と鳥摩が踏みつけられています。五大明王の一尊で単独では祀られません。
ご利益
煩悩除去、怒りを抑える、悪魔退散のご利益があるとされています。
降三世明王(ごうざんぜみょうおう)の像容
背には炎の形をした光背を持ち、手には様々な武器を持っています。4つの顔と8本の手が一般的な像容です。
有名寺院と像
・京都府:東寺
・三重県:常福寺
降三世明王(ごうざんぜみょうおう)の真言
オン・ソンバ・ニソンバ・ウン・バザラ・ウン・パッタ