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科学におけるヒトの改造 遺伝工学による遺伝子変換術 Human remodeling in science. Gene conversion by genetic engineering.

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  • 単行本: 515ページ
  • 出版社: 平河出版社; 改訂版 (1972/07)
  • 言語: 日本語
  • ISBN-10: 4892030104
  • ISBN-13: 978-4892030109
  • 発売日: 1972/07
  • 梱包サイズ: 18.6 x 13.2 x 3.4 cm

 

密教・超能力の秘密

新品価格
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(2019/10/4 21:04時点)

 

 

科学におけるヒトの改造

               

遺伝工学による遺伝子変換術

 あなたは梨がお好きであろうか?

 もしもあなたが不幸にしてあのみずみずしい果物を好まなかったとしても、″廿世紀″と″長

十郎″という名で知られた二つの梨の名前ぐらいはご存知であろう。

 。突然変異”というと、しごくむずかしいもののように聞こえるけれども、実は、この二つの梨

が、それをごくかんたんに示してくれているのである。この二つの梨の代表。廿世紀”と”長十

郎″は、梨のなかの突然変異体なのである。

 。長十郎”は、一八九四年(明治二七年)ごろ神奈川県下の当麻長十郎という人の家の庭で偶然に

発見された。偶発実生”で、。廿世紀”も同じように一八九八年(明治三一年)千葉県の松戸覚之

という人によって紹介された、これも″偶発実生″の梨である。若いころに私の聞いた″伝説″

によると、廿世紀梨は園芸学校のゴミ捨て場に生えていたのを、その学校の小使いさんが発見し

たものだということである。

 これに対し、″菊水″とか、″幸水″″晩三吉″などは栽培発生である。

 梨の歴史を調べてみるとたいへん古い。日本書紀(七二〇)持続天皇七年(六九三)三月の記事

に栽培をすすめる文章が出ている。これが梨の文書に載った最古のもので、江戸時代後半になる

と一五〇種以上の品種が分化している。けれども、明治にいたって長十郎、廿世紀が突然出現す

るまで、梨はそれほど魅力的な果物ではなかった。突然変異とそれにつづく交配などの栽培技術

が、今日のようなおいしい果物に仕上げたのである。

 これと同じことを、人工的にヒトの上におこなって、かたくてまずかった野生のマメ梨を魅力

的な″廿世紀″に変えたように、あまり上等でないヒトを魅力あるステキなヒトに変えようとす

るこころみが、科学と技術によって進められっっある。

 もちろん、科学や技術が手をくださなくても、自然は、時どき、梨のなかに長十郎今廿世紀を

出現させたように、ヒトのなかにも優秀な突然変異体を生み出すことかあるが、自然に任せてお

いたのではせっかく出現した優秀な突然変異体も単にそれ一個だけで終ってしまってあとが続か

なかったり、また、出てくる突然変異体も必ずしも優秀なものとは限らず、むしろ劣悪なものの

ほうが多い。それになによりも時間がかかる。自然の流れのなかで突然変異の起こる割合判生

物学者のジュリアンーハクスレーや、パリ大学のオリヴィエ教授によると、数的には遺伝子一億

個でわずかに一個、時間的には、過去の歴史において二〇〇〇年に一回、よい突然変異が起こっ

たと計算されている。これは、ハクスレーがマラー教授の計算をもとにして、原始的な生命から

ウマが生ずるまでの確率を計算して出したものである。そんな悠長なことはしておられない。な

にしろシリに火がつこうというせっぱつまった時であるから、これを人工的にやってしまおうと

いうわけだ。

 ところで突然変異とはなにかというと、J坦伝子の活動、つまり遺伝物質の構成に起こるだし

ぬけの変化であり(ド・フリースyそうなると、J返伝はもはや祖先の正確な複製をせずにミス

プリットをしてしまう(ホールデーン)″その結果、親に全く似ない鬼ッ子が出現するわけであ

る。これが突然変異というものだ。そこで、自然のままの遺伝子のだしぬけの変化を待っていず

に、人工的に、ヒトの遺伝子をだしぬけに変化させてしまおうというねらいである。

 「遺伝工学Lと呼ばれるあたらしい科学の分野が多くの人びとの注目を集めはじめた。「遺伝子

外科」「遺伝子複写」「遺伝子挿入」「遺伝子削除」などという言葉が科学論文のなかにぞくぞく

あらわれはじめている。”アルジェニー″(遺伝子変換術)などという言葉がよく使われるように

なっている。

 

 ロックフェラー研究所のノーベル賞受賞者、エドワード・L・レッテータム博士は、「人間の

場合でさえ遺伝を望むままに変える操作が可能になるであろう」と言明し、さらに、「生物工学

の時代はわれわれの想像以上に早くやってくる。そしてそれは科学によってこれまで考えられた

予想のうちでも最も驚くべきものであるL

 とつけ加えている。

 また、アメリカの著名な科学記者であるローレンスーレッシングは、アルベルトこフスカー医学ジャーナリズム賞を得たエッセイ集のなかでこう述べている。(詐バ薫押壽猟)

 『ここ数年のうちに、私たちは、遺伝的性質を直接変更することにむかって、最初の画期的なス

テップをふみ出すことでありましょう。この新しい方法の最初の適用は、たぶん血友病とか、筋

萎縮病のような病気をもたらす遺伝的な欠損をなおす試みでありましょう。

 けれども同時に、科学者たちは、髪の毛や皮膚の色や、体格のように正常な遺伝形質や、脳の

機能や知的能力のようにはっきりとらえられないことにも介入しようと準備することでありまし

よう。ある権威筋は、これらの多くは五年以内に実験的な段階に入ると思っていますが、入によ

ってはもっと時間がかかると思っています。

 しかし、関係しているすべての科学者たちは、分子生物学として知られる生物学の革命が、人

間の生命にはかり知れない影響力をもって研究室からおどり出てゆこうとしていることを認めて

います』

 

 

 

DNA式人間印刷機

 

 現代は、情報過多というよりも、情報洪水の時代というのだそうである。

 情報伝達の手段は、ラジオ、テレビなどいくつかおるが、その主役はなんといっても出版物、

書籍である。わが国の書籍だけでも年間五億七千万冊というから月に四千八百万冊、一日に一六

○万冊というおびただしい数量の本が生。み出されているわけだ。

 こういうおびただしい書物は、いったいどのようにしてっくり出されるのかというと、もちろ

ん、いうまでもなく活字によって紙面に文字が写し出されて出てくるわけで、そのプリントされ

る文字の配列がそれぞれ違うことによって、本の内容もまたそれぞれ違うというわけである。

 つまり、ひと口に本といっても種々雑多で、哲学の本もあれば、芸術の本もあり、科学の本も

あれば捕物帖もある。どうしてそう違うのかというと、いまいったように、哲学書は哲学書の文

字の配列があり、捕物帖は捕物帖の文字の配列かおる。その配列の違いが書物の違いとなる。あ

たりまえのことだ。子どもだって知っていることだ。そんなあたりまえのことをなんでこうして

書いたのかというと、ヒトの誕生の仕組みもまたこの本の印刷にたいへんよく似ているので、そ

れをいいたかったからである。

 世界中にはいま、およそ三十七億人のヒドがいるという。この三十七億人のヒトがみなひとく

ちにヒトといわれているけれども、この三十七億人は全部それぞれに違っている。全く同じヒト

というものはない。その違いはどこからくるのかというと、体のなかの活字の配列がヒトによっ

てみな違うので、その違いがおのずからそれぞれの違いになってあらわれてくるのだというので

ある。

 ヒトはみな、その体のなかの細胞中に印刷機と活字を持っており、子どもは親から分離すると

き、その活字を分けてもらって出てくるのだが、そのとき、活字の配列が少しずつ違って印刷さ 渡される情報の量はきわめて莫大なものにちがいないということは考えてみるまでもないこと

で、というのはたった一個の細胞でさえも非常に複雑であり、自己複製するためにはもっとも精

巧で細心な注意書と設計書がなければならないからである。また、情報はその量が多いだけでな

く、文字通りに高度に”特異的”かつ。正確″でなければならぬものである。なぜならば、その

設計書のさしず通りにその生物が形成されてゆくわけだから、もしもかんじんの設計書に少しで

も狂いや間違いがあったら、たいへんなことになるからである。

 こうして考えてくるとすぐに、ひとつの疑問にぶっかる。それはいったい、細胞内のどこに子

孫へ代々つたえられてゆく情報あるいは設計書の青写真があるのかということである。親から子

どもへどのようにしてつたえられるのか? 情報はどのようにして新しい細胞の建設を指示する

のか? この問題は生物学のなかでもっとも興味をひくものである。

 むかしから、科学者や思想家はあらゆる種類の仮説を提出して、一個の受精卵細胞から非常に

複雑な、人間のような生物に生長する目ざましい一連の出来事の説明をつけようとしたものであ

る。たとえば、昔のある生物学者たちは、すべての人間の精子はごく小さい小人をもっている。

その小人は人間の小さな写しであると考えたものである。。

 この、生命の情報、生体をつくりあげる設計書が、すべて、このDNAというらせん階段状の

分子のなかにつめこまれていたのである。そうして、その情報を記した文字が、つまり、この四

つの塩基、A、T、G、Cだったのである。

 この四つの文字からなる情報の量がどれくらいのものかというと、もっとも簡単な生物である

ウイルスで五千、ヒトで五〇億という数になる。つまり、しっかりねじこまれたらせんのなかに

つめこまれた塩基対の数がそれだけあるのである。いうなれば、ヒトの場合、五〇億の活字によ

って情報が印刷されているというわけである。ある学者は、ひとつの細胞から得られた長さ約三

・五メートルのヒトのDNA一本は、一ページあたり五〇〇語からなる約六〇万ページの本にひ

としい情報を持っており、これは千冊の本を所蔵している図書館に匹敵するといっている。

 ところで、私はいまDNAを印刷機にたとえて説明しているわけだが、もしも、DNAが完全

な印刷機械であるならば、どうしてももうひとつの重要な機構がなければならない。それはらせ

んは印刷機、四つの塩基は活字として、この活字を印刷機にかけるために活字の選択配列をする

機構である。DNA式印刷機は、その機構をちゃんと持っており、それがもうひとつの分子、

。メッセンジャーRNA”である。これは、その名の通り、遺伝分子の情報を配達するところか

ら名づけられたものである。

 私はいま、これらの分子のはたらきを、印刷機にたとえたが、実際に、アメリカのマッシュー

・メセルッッとF・W・スタールは、一九五八年に、大腸菌を使ったみごとな実験で、

「それはまさに印刷機の正確さで細胞から細胞へ自己複生してゆく。ナばらしい方法である」

 と報告しているのである。

 また、ノーベル化学賞受賞者のJ・C・ケンドルーは、その著「生命の糸」(みナず書房刊)の

なかで、〃変具と遺伝″についてこう述べている。

 『遺伝情報はDNAまたはRNA鎖のなかに、塩基の符号化された配列のかたちでたくわえられ

ている。-t遺伝情報を、DNA上の塩基の特定の配列であると考えるならば、それは、(A・

T・C・Gという四つの)暗号(文字)で書かれた文章に比較することができます。そしてある

変異は活字の列の誤 植のようなものです。新聞記事から抜き出した起こりやすい種類のミス

ープリントのいくっかの例をあげてみましょう』(カッコ内は著者)

 といって、変異の四つの種類をあげている。この四つの種類を便宜上、日本語でつくってみる

 

 

  その日は大雨でかった。

         (あ)

 この種のあやまりを置き換えと呼ぶ。間違った文字が正しいのと入れかわっているからであ

る。

  その日は大雨でった。

 この例では一文字ぬけているので、それを欠損とよぶ。

  その日は大雨でしあった。

 ここでは余分の文字が入っているので、これは挿入である。『

  その日は大雨あでった。

1.44

 ここでは活字が入れかわっているので、それを反転と称する。

  日のそ大で雨たつはあ。

 これはメチャクチャに入りみだれて、ちんぷんかんぷんである。これは単にナンセンスと呼

ぶ。

 と説明して、

 『実際、この種のミスープリントのどれもが生物の遺伝物質中で起こることが知られています。

さきにわたくしがそれらのミス・プリントにつけた名前は、対応する変異を表わすのに遺伝学者

によって使われている名前なのです』

 と解説している。

 たいへん長い説明になったが、要するに、ヒトに突然変異をおこさせたかったら、このDNA

中のA・T・G・Cの遺伝記号を置き換えたらよいのである。活字の配列さえ置き換えたら、く

だらないエロ小説が、高遠な哲学書にだって変わるのである。ただし、その逆も起こりかねない

から、当然、この作業につよい警告を発する科学者は非常に多い。

 では、どうやって変異を起こさせるかというと、まず、放射線である。

 放射線が遺伝子に変異を起こさせることは、今日では常識になっている。つぎに、変異は化学

薬品によって起こすことができる。たとえば、かんたんな物質である亜硝酸はいくっかの塩基に

さまざまな影響をおよぼす。ひとつの例は、シトシン(C)を、RNA中の新しい塩基ウラシル(U)に変え、遺伝学者が″置き換え”と呼ぶ種類の変異を起こす。また、アクリジンという薬

品は、塩基の列のなかに余分の塩基を入れて。挿入”を起こしたり、また、塩基をとり除いて

″欠損″を生じたりずる。

 このほか、特殊な酵素や、ウイルスを使う方法が開発されている。とくに、一九五八年のノー

ベル賞受賞者ジョシュアーレーダーバーグが、あるウイルスが形質変換とよばれる現象を、実験

に使った細菌に起こしたことを発見して以来、多くの研究が、特殊なウイルスの発見に集中され

ているようである。ローレンスーレッシングによると、今や、「少なくともひとつの研究所が、

人間に同様の実験をこころみるのにつごうのよい一種のウイルスをすいせんしている」というこ

とである。

 そうして、彼はひきつづいてこう述べる。

『実験、多くの研究室がかような第一線の研究を行なっています。遺伝子をうっす過程は能率的

に、しかも特異的になされっつあります。細胞中にみられる謎めいた小さな遺伝粒子のエピソー

ムを用いた変転のさまざまが発展されています。同時に、染色体の遺伝構造の地図をつくる技術

は、芸術といえるほど進歩しています。染色体の分析が出生前のあたりまえの検査となり、DN

Aの異常は、出生前に訂正されてしまうという日を考えることは、けっして夢物語ではありませ

ん。すでに、かような分析は、診断の目的のための特別の医学の一部になっています。ニューヨ

ークのコロンビア長老教会中央医学研究所の科学者は、アブユ社と協同して、てはじめの問題を

コッビューターにおぼえさせ、人間の染色体のすみやかな分析を行なっています。‐コンピュータ

ーは、実際上、人間の遺伝や遺伝工学という尨大で複雑なことを経済的にあっかうのに、決定的

な手段となることでありましょう』

 といってから、最後にこういう警告を忘れない。

 『DNAの遺伝情報解読の現在の初期段階の最初の成果となるかもしれない人間の遺伝的特徴

を、少しでも変える見こみというものは、いうまでもないことですが、倫理上、法律上、社会上

の大きな問題をまきおこすものでしょう。遺伝的なまちがいを訂正(して病気を直す)ナる技術

は、同時に、他の変化をおこすのにも用いられるかも知れませんから。遺伝についての現在の知

識では、さような影響のあるものは予測もできず、時として、致命的、いや、とんでもない怪物

を生じさせるようなものかもしれません』

 

恐怖の突然変異体

 

 S・F(空想科学小説)の用語に、ミュータントということばがある。突然変異体という意味

で、そのほとんどは異常人間である。異常とは、通常の人間には見られない異様な形態や、能力

を持っているのである。超能力者の場合もあるし、とんでもない怪物である場合もある。

 そういう異常な生物を主人公にした空想科学映画もいくっか作られているから、あなたもご存知のことであろう。そういうミュータンドはどうして生まれるかというと、前の項で述べたよう

に、DNAのなかの遺伝情報の配列の順序が狂ったためである。要するに、正常な人間として文

字がならべられるべきはずのところを、異常な配列におかれてしまったというわけだ。

 われわれは、今まで、そんな怪  物は小説か映画の世界にしかないものだと確信して、頬

づえをついてニヤニヤ笑いながらテレビをながめていたのであるが、今や、実験室ではそういう

変異体がぞくぞくと生まれっっあるのである。まだ、いまのところ、人間のミュータットは出現

しておらぬようであるからヤレヤレというところだが、しかし、いつなんどきそういう怪物が、

実験飼育している科学者をたたき殺して(映画では必ずそうなりますな)われわれの目の前にす

がたをあらわすか知れたものではない。

 だから、というわけではないが、この遺伝工学の技術をすばらしい科学の発展だとはみとめて

も、それに対してつよい警戒と危惧の念を持つ科学者は非常に多い。

 ベントリー・グラス教授は法学博士であると同時に、人類遺伝学を研究している学者である

が、彼は、このような生物工学は可能であろうが、それが望ましいとか賢明なことだなどという

気には絶対になれないと明言している。そうして、さらに、「ここ二、三年のうちに、われわれは

このような。生殖に関する人間工学″をみとめるかどうかを決定しなければならぬだろう」とい

っている。

 さきにあげたレーダーバーグ教授は、このように考えている。まず第一歩として、人間の細胞

核(DNA)を動物、おそらくサルに移植して雑種をつくる。第二段階は、人間の器官や四肢を

動物に組みこむことである。このような動物実験は、「人間を材料にした実験がやりにくい」た

めに、「生物学が許すかぎり、一歩一歩すすめられていく」にちがいないが、教授はこんな実験

に賛成でないことを明言し、それらの実験が、「人類遺伝学における大きなギャップはもちろん

のこと、人間の価値の適切な理解」すらなしに試みられはしないかと真剣に必配している。

 実際I、私は思うのだが、科学はなんという恐ろしいことを考えるのであろうか? 考えて

ごらんなさい。人間の細胞核を動物、おそらくはサルに移植して雑種をつくる、といともカンタ

ンにいってのけているが、もしも、私なり、あなたなりのDNAがサルに移植されて、ひとつの

生物がここに生まれる。サルとあなたとの雑種がそこに生きている。それはどこまでがあなた

で、どこまでがサルなのか? あるいは、かたちはサルだが、精神はすべてあなたなのかも知れ

ないし、また、その反対に、かたちはあなたそっくり、あなた自身で、こころはサルであるかも

知れず、あるいはまた、かたちも心も、半分ずつサルとあなたなのかも知れないのだ! そうい

う生物が、この世のなかにあなたと共存することに、あなたは堪えられるか? 悪夢のような世

界ではないか?

 つぎに、こういう問題が出てくるだろう。遺伝子変換手術で、すぐれたヒトが出た場合はよい

として、もし、非常に劣悪、劣弱なヒトが生まれたとき、そういうパラ人間(擬似人間)の法律上

の権利義務はどうなるのか? もしその生物が凶暴の場合は別として、ただ単に能力が非常に劣つているとか、かたちが異常(たとえば頭が二つあるとか、目が四つ、あるいは手足が五本ある

などという)場合、そういう生物を殺してしまってもよいのか? あるいはどこまでも人間とし

て人権をみとめなければならないのか? そういう場合の法律的保護はどのようになされるの

か? また、外見は異常で不気味であり、とうてい普通人と共同生活はできない生物だが、知

能、感情、その他精神活動の面では通常の人間と同様か、またはそれ以上の場合、どういう待遇

をするのか? かたちが醜悪だからといって人間と全くおなじ心を持っているものを殺しても殺

人罪にはならぬのか? あまりにも醜悪で人間とはみとめられぬという場合、その醜悪の度合を

どこにおくか?

 またI-、

 私は、さきに、この手術ですぐれたヒトが出た場合はよいとして、といったが、その場合で

も、大きな問題が出てくるだろう。というのは、この手術ですぐれたミュータントとして超能力

者が生まれるのは、通常人の出生数にくらべて非常に少ないものと思われる。おそらくは、百万

人に一人ほどにもあたるまい。その場合、通常人と超能カミュークントとのギャップがどういう

展開をみせるかということである。今まであるミュータントS・Fのテーマは、通常人とミュー

タントとの敵対関係である。ミュータントは、かず少ない自分たちのグループを結集してその能

力で通常人たちの社会を征服支配しようと考えるし、通常人たちはそれをきらって、ミュータッ

トたちをとらえて殺してしまおうとする。それは当然の成り行きだろう。非常にすぐれた能力を

持つミュータントたちは、レベルのずっと低い通常人だちと同等の待遇で社会生活をいとなむこ

とをなっとくしないだろう。また、もしなっとくしたとしたら、わざわざ超能カミュータントと

して誕生させられた甲斐はないわけで、彼は一種のエリートとして特別待遇され、指導階級、支

配階級に属するグループに、生まれながら所属させられることになるだろう。これは民主主義社

会の崩壊である。また、そうなれば、そういう特権階級に入ることをねらって、非常に多数の手

術希望者が殺到することになるのではないか? その希望者たちの選択をどうするか。考えてみ

るがよい。自分の息子を一流校に入れるための親たちの競争意識、それと比較にならぬせまい門

をめぐってどういうさわぎが展開するか? その選に洩れた者たちの、超能カミュータントに対

する反感はどんなものか? 人は、自然に生まれた天才には尊敬の念を持つが、人工的につくり

出されたミュータント天才には、自分にもそうなるチャンスがあったにもかかわらず、あいつに

そのチャンスをうばわれたんだという反感が集中するのではないか? これは、たんに、入学試

験の競争に負けたというような単純なものではなく、複雑に屈折したものになろう。富の分配の

不公平に対する共産主義どころではないあらたな階級闘争が起きるだろう。

 こういうわけで、私は、この手術は、成功、失敗、いずれにせよ、社会に一大パニックをひき

起こして、収拾のつかない混乱をまきおこすだろうと考えるのだが、あなたはどう考えるか?

 この、遺伝子変換術による人間改造よりも、まだ、サイボーグによる人間改造のほうが、いく

らか社会的には受け入れられやすいのではないかと私は思う。

150

151一一科学におけるヒトの改造

 

Human remodeling in science
S
Genetic conversion by genetic engineering
Do you like pears?
Even if you are unhappy and don’t like the fresh fruit, the “Long Century” and “Head”
You know about the names of the two pears known as “Juro”.
. “Mutation” sounds like something very difficult, but in fact, these two pears
However, it shows it very easily. Representative of these two pears. “Ninth Century” and “Choju
Buro “is a mutant in pear.
. Chojuro “happened by chance in the garden of Toma Chojuro’s house in Kanagawa Prefecture around 1894 (Meiji 27)
It’s been found. “Accidental Seedling”, “Sakai Century” is the same as Kaku Matsudo in Chiba Prefecture in 1898 (Meiji 31)
This is also a pear of “accidental seedling” introduced by the person named. “Legend” I heard when I was young
According to the founder, the school ambassador discovered that the century pear was growing in a garbage dump at a gardening school.
It is a thing.
On the other hand, “Kikusui”, “Kosui”, “Bunkayoshi” etc. are cultivated.
Investigating the history of pear is very old. Nihon Shoki (720) March of the Emperor Seven Years (693) March article
There is a sentence that recommends cultivation. This is the oldest one on the pear document, which will be in the second half of the Edo period
And more than 150,000 varieties are differentiated. However, Chojuro, Miki century suddenly appears in Meiji
Until then, pears were not that attractive fruit. Cultivation techniques such as mutation and subsequent mating
However, it was finished to the delicious fruit like today.
¡The same thing is done artificially on humans, and charming wild and hard wild pears
To change a lesser human into an attractive and beautiful person, as in a typical “廿 century”
This will be promoted by science and technology.
Of course, even if science and technology don’t help, nature sometimes goes to the pear, Chojuro tonight
As it has emerged, some humans may produce excellent mutants, but leave it to nature.
If it was, the excellent mutant that appeared with much effort would end with just that one and the rest would continue
And the mutants that come out are not always excellent, but rather poor
There are more. It takes more time than anything else. Proportional grading where mutations occur in the course of nature
According to physicist Julian-Huxley and Professor Olivier of the University of Paris,
A good mutation occurs once every two hundred thousand years in the past history, only one in time
Is calculated. This is because Huxley is based on primitive calculations,
It is calculated by calculating the probability until a horse occurs. I haven’t done that kind of thing. Na
Anyway, this is when the fire gets stuck in Siri, so let ’s do this artificially
That’s why.

By the way, what is a mutation? It occurs in the activity of Jtan Denko, that is, the composition of genetic material.
It is a change of the Nuke (De Fries y, so J Return is no longer an exact duplication of ancestors and mistakes
“As a result, Holden” ”will result in the appearance of a devil girl who is not very similar to the parent.
The This is called mutation. So, don’t wait for the changes in the natural genes
In addition, the aim is to artificially change human genes.
“A new field of science called genetic engineering L has begun to attract the attention of many people.
The words “Surgery”, “Gene duplication”, “Gene insertion”, “Gene deletion” etc. appear in scientific papers
It is beginning to appear. “Algeny” (genetic conversion) is often used
It has become.

Dr. Edward L. Retatum, Nobel Laureate at Rockefeller Institute,
Even in some cases, it will be possible to change the inheritance as desired. ”
The era comes sooner than we can imagine. And it was ever thought by science
L is the most amazing of expectations
And added.
In addition, Laurence Sulessing, a famous American science reporter, stated in an essay collection that received the Alberto Kosker Medical Journalism Award. (Scam Barge)
“In the last few years we have moved on to the first groundbreaking move towards direct changes in genetics.
Let ’s take out the tep. The first application of this new method is probably hemophilia or muscle
It will be an attempt to fix a genetic deficiency that causes diseases such as atrophy.
But at the same time, scientists are able to see normal genetic traits such as hair and skin color, physique, and brain
It is to prepare to intervene in things that are not clearly understood, such as function and intellectual ability.
Like. One authority believes that many of these will enter the experimental phase within five years.
I think it will take more time.
However, all the scientists involved had a human revolution known as molecular biology
Admitting that he was trying to get out of the lab with an incredible influence on life
is”

DNA human printing machine

It seems that today is more of an information flood than information overload.
There are several means of information transmission, such as radio and television, but the main role is a publication,
It is a book. Japan’s books alone are 570 million books a year, so 48 million books a month, 16 books a day
○ A huge number of books are live. It ’s out.
Of course, how many books like this are displayed
Needless to say, the characters appear on paper as they are printed, and they are printed.
The contents of the book are also different due to the different arrangement of letters.
In other words, even if it is a book, it is various, there are books of philosophy, books of art, books of science
There is also a catch trap. The reason why it is so different is that philosophy books are sentences of philosophy books.
There is an array of characters, and the catch trap is an array of characters of the catch trap. The difference in arrangement is the difference in books. Ah
It’s about time. You know that you are a child. Why are you doing this naturally?
As for writing, the mechanism of human birth is also very similar to the printing of this book.
Because I wanted to say this.
There are now about 3.7 billion people around the world. These 37 billion people are all
Although these people are said to be humans, all these 3.7 billion people are different. Exactly the same human
There is no such thing. Where does that difference come from? The type sequence in the body depends on humans.
Because they are different, the difference will naturally appear as a difference.
is there.
All humans have a printing press and type in the cells of their bodies, and children are separated from their parents.
However, it is not necessary to think that the amount of information to be printed must be very large at that time.
Because even a single cell is so complex that it is most sophisticated for self-replication.
This is because there must be a clever and careful note and design document. Also, the amount of information is not only large
Literally, it is highly “specific”. It must be “accurate” because its
Because the creatures are formed according to the design document, there is little need to add it to the design document.
If there are any mistakes or mistakes, it will be very difficult.
As soon as I think this way, I run into a question. Where is the child in the cell
Is there a blueprint of information or design documents passed down from generation to generation? Parent to child
How can you give it to everyone? Information tells you how to build new cells
Is it? This issue is the most interesting in biology.
From time to time, scientists and thinkers have submitted all kinds of hypotheses, and from one fertilized egg cell,
It tries to give an explanation of a remarkable series of events that grow into complex, human-like creatures.
The For example, some old biologists have a very small dwarf for every human sperm.
The dwarf was thought to be a small copy of a human being. .
This life information and the design document that creates the living body are all in a spiral staircase called DNA.
It was trapped in the molecule. Then, the characters that describe the information are
It was one base, A, T, G, C.
”The amount of information consisting of these four characters is the simplest creature.
The number is 5,000 for viruses and 500 billion for humans. In other words, in a spiral that is tightly screwed
There are so many base pairs packed. In other words, in the case of humans,
The information is printed. Some scholars say about three lengths from a single cell.
・ Each human DNA of 5 meters is equivalent to about 600,000 pages with 500 words per page.
It has a lot of information, which is comparable to a library that holds a thousand books.
By the way, I’m now explaining DNA as if it were a printing machine.
If it is a good printing machine, there must be another important mechanism. Let it
Is a printing machine, and the four bases are typed, and the type selection is arranged in order to apply this type to the printing machine.
Mechanism. The DNA printer has its mechanism properly, and that is another molecule,
. “Messenger RNA”. As the name suggests, this is where genetic information is delivered.
Are named.
I have now compared the function of these molecules to a printing press.
・ Meselutto FW Stahl was a wonderful experiment using Escherichia coli in 1958.
“That is exactly the self-reproduction from cell to cell with the accuracy of the printing press.
It is reported.
Also, Nobel Prize in Chemistry, JC Kendoru, is the author of the book “Thread of Life” (published by Minazu Shobo).
Among them, it says as follows about 〃 metamorphosis and heredity.
“The genetic information is stored in the DNA or RNA strand in the form of a base-encoded sequence.
ing. -T If we consider the genetic information to be a specific sequence of bases on DNA, it is (A ·
It can be compared with texts written in four (cryptographs (letters): T, C, and G). And there is
Mutations are like typographical errors in type strings. Common types of mistakes extracted from newspaper articles
-Let ’s give some examples of prints ”(authors in parentheses)
However, there are four types of mutations. Let’s make these four types in Japanese for convenience.

It was heavy rain that day.
(Ah)
This kind of mist is called replacement. Because the wrong character is replaced with the correct one.
The
It was heavy rain that day.
In this example, one character is missing, so it is called a deficit.
It was heavy rain that day.
This is an insertion because there are extra characters in here. ”
It was a heavy rain that day.
1.44
Here, the type is changed, so it is called reversal.
It ’s so big in the sun.
This is a mess, it ’s a crappy pudding. This is simply called nonsense.
Huh.
Explain that,
[In fact, it is known that all of these types of misprints occur in the genetic material of organisms.
The name I gave to these mistake prints is

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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